レーシングサービスワタナベ

タイヤバランス

もうタイヤのブレで悩まない       

100%完璧

ホイールバランスの取り方

ステアリングやボディに振動が発生するのはまずタイヤ、ホイールに原因があると疑って

間違いはない。まれにはミッションやデフからの共振が原因となることもあるが、ホィールバランスやタイヤの真円度が悪ければ、路面からの様々なストレスをタイヤそのもののバネだけでは吸収しきれず、アクスルやストラットに伝わりあの不快な振動となる。

 振動を殺すためにホイールアライメントをインネガティブ気味に振り分けたり、ダンパーをハードタイプに交換しても、キャビンシェイクやフラッターが一向に収まらないことがある。そこで振動やハンドル振れのパターンの発生要因を考えてみると大きく分けて2通りの症状が見られる。

振動や揺れの原因は大別して2つ

    解決が難しいハイウェイシミーの原因

 まずさほどスピードの上がっていない時速50~60kmほどで発生するハンドル振れやボディ振動は、タイヤ本体不良の場合が多い。扁摩耗やタイヤ内部のコード、あるいはスチールブレーカーがはく離したり切れたりしているのが原因でタイヤ自体の真円度が著しく低下していることがある。この場合はたとえ精密なホイールバランサーで修正しても直るものではない。新しいタイヤに交換する方法しかないだろう。

 むしろ、それよりも高速走行時に起きるハイウェーシミーの解決の法が問題の根は深いし、やっかいである。例を挙げれば、高速走行中時速80kmを過ぎたあたりからステアリングがブルブルと踊り出し120kmぐらいを過ぎると何事もなかったように落ち着いてしまうという現象ならば、まずタイヤ、ホイールを含めたセンター部からの半径の差異の確認と完璧なホイールバランスの調整を行う必要がある。

 コマ回しのコマは回るスピードが遅くなるとふらつき出すが、タイヤもある速度域でサスペンションと共振を起こし、タイヤ自身のアンバランスと重なって振動が増幅されるというわけだ。

 あらためていうまでもないが、ホイールに組まれたタイヤは厳密には真円状態とはいえない。特に超扁平タイヤと大口径ホイールの組み合わせにおいてはそれが顕著になる。

 もし、タイヤのリムラインの立ち上がりが不完全であればタイヤ全体が微妙ないびつとなりホイールセンターを中心としてタイヤトレッド部までの半径の長さに僅かだが違いが生じる。そのままの状態で走れば片べりや、ヒールトウ摩耗が生じてますます振動が起きやすくなる。

 また、太過ぎるタイヤに細めのホイールの組み合わせでもタイヤ内部のベルトやブレカーのセリやズレを招く原因となる。   

完璧なバランシングは難しい

    専用アタッチメントの使いこなしがカギ

 いま、タイヤやホイールは販売チャンネルの増加に伴いプロショップ以外で買う場合も多いと思うが、その時はタイヤとホイールのセッティングにも不安が残る。知らずにタイヤを裏返しに組んだり、方向性のあるタイヤでもローテーション通りの組み方でなかったり、エア圧不足のため、リムラインの立ち上がりが悪いなどのセッティングでは、タイヤ本来の性能を十分に生かすことができないばかりか、タイヤ故障の原因を作り出すようなもの。

 話が少しそれてしまったが、ハンドル振れやボディ振動の原因となるアンバランスの調整作業自体はバランサーのハード部の進歩に助けられてアマ、プロ問わず比較的簡単に調整できるようになったといえるが、よほど腕に自身のあるプロショップといえど、タイヤとホイールの完璧なバランシングを心得ているショップは皆無といってよいだろう。

タイヤ(ホイール)のバランシングを完璧に行うにはたとえ、いかに優れたメカニックであっても、過去の経験や勘に頼る時代はとうに過ぎ去った。現状はホイールセンターの形状や寸法も様々とあり、一定していないし、ホイールナットの形状やP・C・Dもまちまちである。ハッキリいってしまえば高精度なバランシングを行うには車種別に適した専用アタッチメントを用意し、必要に応じて的確に使いこなさなければならない。

 いうまでもないが、バランサーメーカーはそのために数十種類のアダプターを用意している。それらのアダプターをうまく車種別に組み合わせることによってホイールセンターの芯出しが確実にセットされて完璧なバランス取りができる。

 タイヤ、ホイールの基本的なセッティングとしては、まずホイールビード部とディスク面裏のサビ、ヨゴレを丁寧に清掃した後、ホイール内面にたっぷりタイヤクリームを塗り、ムシゴムを入れず高圧エアを一気にブチ込み、ビードをできるだけエアの力で押し出すことが重要だ。

 大口径ホイールはバランサーの芯だしがほんの僅かズレただけでもアンバランスエラーが出るので、できるだけ専用アタッチメントを使用する。特にホイールセンターが突き出ているホイールはセンター取りよりもボルトホールで芯出しする。

クルマへの取り付け時も細心の注意で

    ハブ回りの汚れを清掃、取り付けは慎重に

 クルマに取り付ける時はドラム側のハブ回りに潤滑スプレーをタップリ塗り、ホイールハブとの滑りをよくしよう。ハブボルトは一気に締めずシックネスゲージをホイールセンターとハブの間に差し込みクリアランスの確認、調整をすることも大切だ。ボルトを軽く締め込んだらタイヤを手で軽く回してホイールセンターからタイヤ全体のブレを見て、ウネリがないように規定のトルクで締め直す。

 以上が基本作業となるが、ほとんどの振動やハンドル振れはこれで解決するハズである。

 タイヤとホイールを組み直すマッチングやオンザカーバランサーの調節を勧めるショップがあるが、一度クセが付いたタイヤには効果がないし、基本のバランスがキッチリ取れていれば、あえて必要はないといっておく。

 タイヤのエア圧が高めだと振動や乗り心地の悪化を招くと思っているユーザーがいるが、それは間違いでサスペンションやキャビン剛性と装着したタイヤ、ホイールとの性能差によるものである。高速巡航の多いヨーロッパ車は、ボディ剛性の強いZR・WRレンジタイヤを履きながらもフラットでしなやかな乗り心地を決して犠牲にしてはいない。

 バランサーのメカニズムはタイヤの一番大きなアンバランス部分をストロボセンサーがピックアップし、位相とアンバランス量を計算して表示する。

 ここで気をつけなければならないのはタイヤ上のアンバランスがピンポイントならば問題ないが、広いゾーンにあると、アンバランスの合成値が幾つもできることになり、アンバランスを殺すために幾つものバランスウェイトを付けなくてはならなくなる点だ。それを防ぐためには、タイヤを何回かに区切って測定をするのがよい。

まず、1回測定後、タイヤだけを90度、120度、180度ずつバランサーのシャフト上でずらしてさらに3度測定し、それぞれの値を書き取る。その合計を回数で割った数が本当のアンバランス量となる。

 また、その時のウェイトが付くポイントのゾーンが狭ければ狭いほどタイヤの真円度が高い(アンバランスが少ない)タイヤといえる。

 ホイールも意外にセンターずれがあるものが多く振動の原因となる。

 その他の注意としては、クルマに取り付ける際にセンターずれを起こしやすいのでタイヤを僅かに持ち上げ気味にして、ナットを締め込むとよい。

 オンザカーバランサーを使う場合の判断はタイヤの取り付けエラーによる振動しか調整できないので、アンバランスのゾーンが広い場合は、ほとんどの場合効果的とはいえない。

 最近のホイールはデザイン優先のためか、バランスウェイトをホイールリムの両端に打ち込めないタイプが増えてきている。その場合ホイールの裏側に見えないようにウェイトを貼り付けることになるが、各々のウェイトが干渉しあって、あらたなアンバランスが発生することがある。

ホイールバランスとハンドルブレ対策

 高速走行などで、問題になることが多いハンドルのブレだが、90~120km/hになるとブルブルきて、実に不快な振動である。多くは、ホイールバランスが原因だが、その調整はプロに任されることが多い。ブレを経験したことがない人もいるだろうが、タイヤ屋さんを何軒回っても、なかなか状況が好転しないと悩む人のいる。 

 「ハンドルブレを起こす原因の99%は、タイヤ&ホイールにある。他の原因に責任を転嫁してはならない」と力説するのは、豊島タイヤ(03-3954-0010)の木村さん。「よく、バランスを取った取ったというが、バランス以前の基準から狂っていることが多い。それでは、バランスとはいえない。どういうことかというと、回転の中心が正確に出ていないということなのだ。一般的なバランサーでは、センター穴にコーン状の当てものを使って、ホイールをセットするのが、当然、線接触になり、取り付けのズレが生じる原因となってしまう。ここが、バランスを取る以前の問題。何軒、何回バランス調整を行っても、ホイールのとりつけ位置がそのたび違ってくるのでは、調整に次ぐ調整になってしまうのも当然のなりゆきと想像できる。

 豊島タイヤでは、センター穴とP.C.Dを特殊なクランプで固定し、実際の取り付け状態と同じ状態を再現してバランスを取る、問題は、このアダプターが高価で、他に採用するタイヤショップが皆無なこと。

 バランスウェイトの付け方にも、こだわりがある。外側と内側の重りをきちんと作用させるため、可能な限りリムの外側に付ける。また、テスター表示の0にこだわらず、振れ具合で10g残すという手法を取ることもあるそうだ。

 ハンドルブレ対策は、まず振動の元であるホイールバランスを「正しい」方法で取る。これが基本である。